食事の条件、支払い方法、利用のルールは、「対応しています」と一言で書くより、何をしていて何をしていないかを具体的に書く方が、お客さまは判断しやすくなります。特にアレルギーや宗教上の配慮は、店が安全を保証する書き方を避け、使っている食材と調理の実態を伝えます。
この記事は、訪日客を含むお客さまに、食事条件・支払い・利用条件を分かりやすく伝えたい店舗の方向けです。消費者庁、観光庁、Googleの公式情報は2026年10月5日に確認しました。表の記入例はすべて架空です。旅行者が店を探す流れは外国人旅行者はどう店を探すか、MEO全体の学び方はMEOの学習ガイドにあります。
アレルギー:情報提供の義務と、店が伝えるべき実態
消費者庁の資料「外食・中食を利用するときに気をつけること」(令和8年7月版)は、外食・中食では食物アレルギーに関する情報提供が義務づけられていないと説明しています。容器包装された加工食品には表示のルールがある一方、外食では次のような特徴があり、店の情報が常に正しく最新とは限らないとしています(消費者庁 外食・中食を利用するときに気をつけること)。
- 調理や盛り付けで、同じメニューでも原材料や量にばらつきがある
- メニューの種類が多く、原材料がよく変わる
- 調理中に原因食物が混入することがある(まな板や包丁、トング、飲料のノズル、舞った粉など)
同じ資料は、混入を完全に防ぐことは難しいとし、食べられるかどうかの最終判断は利用者自身や家族が行うよう呼びかけています。店員の「入っていない」が不確かなこともあるため、詳しい担当者や責任者に確認するよう勧めています。
この内容を踏まえ、店の書き方は次のようにすることを当社はおすすめします。
| 避けたい書き方 | 書き直しの例(架空) |
|---|---|
| アレルギー対応OK | 卵・乳・小麦を使わない料理を3品用意しています。同じ厨房で卵・乳・小麦を使う料理も作っています。 |
| アレルゲンフリー | このメニューの原材料一覧を店頭でお見せできます(○月○日更新)。 |
| 何でもご相談ください | ご予約の際に、食べられない食材をお知らせください。対応できない場合はその旨をお伝えします。 |
原材料の一覧を出す場合は、更新日を書き、仕入れ先や原材料が変わったら直す担当者を決めます。注文を受ける人と調理する人が違う店では、伝達の仕組みも必要です。
ベジタリアン・ヴィーガン、ムスリムの方への伝え方
観光庁の「ベジタリアン・ヴィーガン/ムスリム旅行者おもてなしガイド」(令和6年4月)は、食事上の制限や宗教上の規範の守り方は人によって異なるとしています。そのため、対応している内容を「ポリシー」として明示することが重要で、厳格に対応しているかどうかではなく、対応内容を明示することが大切だと書いています(観光庁 おもてなしガイド、6ページ)。同ガイドが挙げる明示項目の例は次のとおりです。
- 使っている・使っていない食材(豚の使用の有無など)
- 第三者機関による認証の取得の有無
- 専用の調理場・調理器具の使用の有無
- 対応メニューの有無と、対応しているグレード
- 専用の食器・カトラリーの有無
この考え方に沿って、架空のラーメン店のポリシーを作ると次のようになります。
| 項目 | 記入例(架空) |
|---|---|
| 対応メニュー | 野菜スープの醤油ラーメン(肉・魚介・卵を使っていません) |
| 調理場・器具 | 専用の厨房はありません。麺ゆでの湯は他のラーメンと共用です |
| 豚・アルコール | 他のメニューで豚肉を使っています。調味料にみりんを使っています |
| 認証 | ハラール等の認証は受けていません |
認証を受けていないのに「ハラール認証取得」「ヴィーガン認定」などと書いてはいけません。「ハラール対応」などの言葉だけでも対応範囲が伝わらないため、実施内容を具体的に示します。認証の有無と、実際に使っている食材や器具の状況を分けて書いてください。共用の器具があることを書くのは不利に見えますが、お客さまが自分で判断する材料になります。
支払い方法:実際に使えるものだけを書く
観光庁の調査によると、2025年に訪日外国人が利用した決済方法(全目的、複数回答)は、現金92.3%、クレジットカード75.0%、交通系ICカード36.2%、モバイル決済(Alipay、WeChat等)20.9%、デビットカード6.6%でした(訪日外国人の消費動向 2025年年次報告書、19ページ)。この数字は全国の平均で、自店の客層にそのまま当てはまるとは限りません。
Googleのプロフィールでは、支払い方法を属性として登録できます。公式ヘルプは、一部の属性は特定の地域、国、業種に限って変更でき、電子決済の選択肢(交通系IC、PayPayなど)は日本向けと説明しています(ビジネスの属性を管理する)。自店の画面に出る項目だけを、契約と端末で確かめてから登録します。手順は属性を整えるで説明しています。
あわせて、属性では伝えきれない条件を説明や店頭に書きます。
- 海外発行のカードが使えるか(決済会社との契約で異なる)
- 決済会社との契約で利用金額や時間帯を制限できるか。契約で認められていない最低利用額などを独自に設定しない
- 現金のみの時間帯や売り場があるか
利用条件:来てから困るルールを先に出す
来店してから知って困るルールは、来店前に見える場所に書きます。下は当社が整理した項目と書き方の例です。
| 項目 | 書き方の例(架空) | 置き場所 |
|---|---|---|
| 席料・お通し | お一人300円の席料をいただき、小鉢をお出しします | メニュー、自社サイト、入口 |
| 時間制 | 混雑時は90分制です | 予約案内、店頭 |
| 注文の決まり | お一人1品以上のご注文をお願いします | メニュー、店頭 |
| 子ども・ペット | ベビーカーは入口で預かります。ペットは同伴できません | 属性、説明、自社サイト |
| 予約・キャンセル | 前日までのキャンセルは無料です | 予約ページ |
こうしたルールは、外国語でも同じ内容を用意します。作り方は外国語の店名・メニュー・予約案内にあります。ルールが伝わっていないと、来店後の不満や口コミにつながります(外国語の口コミへの対応)。
書いた後の点検
- プロフィール、自社サイト、メニュー、店頭で、同じ条件が同じ内容になっているか照合する
- 食材や仕入れが変わったとき、誰がどこを直すか決める
- 支払い端末や契約を変えたら、属性と店頭表示を同じ日に直す
- 月に一度、問い合わせや口コミで繰り返し聞かれた条件を拾い、案内に足す
業種ごとに必要な条件は違います。飲食店の情報の揃え方は飲食店の来店判断に必要な情報、宿泊施設は宿泊・観光施設の予約情報で扱っています。全体の学習順はMEOの学習ガイドに戻って確認してください。
この分野の全体像と読む順は、インバウンド・多言語・利用しやすさの学習ガイドにまとめています。
